建築雑誌オールレビュー

代表/細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北嶋祥浩、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、今野靖人、殿木真美子、
   萩原詩子、平塚桂、守山久子、吉川彰布、脇坂圭一

このブログは建築家向けサイト「PF1」が提供しています。
トップへ

2010年07月13日(火)

[Casa BRUTUS]2010年7月号 [Casa BRUTUS]

[Casa BRUTUS]2010年7月号・マガジンハウス・定価880円


◇ 特集[リノベ vs. 小さな家] 【★★★☆☆】
 
 今年2度目の住宅の特集。「リノベーション」と「小さな家」の二部に分け、それぞれ多彩な事例を取り上げています。

 リノベは10事例。

 冒頭取り上げられるのは、大阪・貝塚市の築100年以上の長屋のリノベーション。歴史を重ねた柱と梁を残し、中に新しい箱を入れて新旧を対比させています。3軒続きの長屋のうち、2軒だけをプロの手で設計・施工してもらい、残る1軒はDIYを予定しているそう。設計は荒木洋+長澤浩二/AN Architects。

 一方、料理家・ケンタロウさんは、小さなビルを自分の手でアレンジ。もと家具職人で今は内装を手がける友人・村田浩さんとの共同作業です。一応の完成まで7ヶ月かけ、まだまだ発展途上とか。住みながら手を加えられる「リノベーション」には「これで完成」という結末はなくていいのかもしれません。

 「セルフ」という意味では、カラオケボックスをシェアハウスにリノベしたという「南砂のシェアハウス」もユニーク。こちらも住みながらのリノベーションで完成まで2年かけています。その根気とエネルギーに感心しました。

 また、光本直人と濱名直子のミハデザインによるマンションリノベーション「nr1977−」は、71.5平方メートルのマンションに、親子6人で暮らすというもの。壁をたてず、寝室や子供室を入れた箱を配置して、箱の上もスペースとして使います。

 空間そのものを変えにくいリノベーションでは、家具や内装からの発想が有効になることも。そこで、家具屋が手がけた事例も3例。ランドスケーププロダクツ「和田邸」、インターオフィス「吉田邸」、パシフィックファニチャーサービス「I邸」を取り上げています。

 ほか、築60年の木造家屋の内側だけを総入れ替えした「三姉妹の家」(Drawing notes/平井充+山口紗由)、マンションを別荘風にした「翠ヶ丘の住宅」(藤田雄介/CAMP DESIGN INC.)、築40年の長屋を再生させた賃貸住宅「大森ロッヂ」。

 いずれも、建物そのものが経てきた年月の重みに加え、工事そのものにも月日をかけるなど、「時間」や「歴史」を感じさせます。また、住む人が、自分自身の手を動かす例が多いのも、リノベーションならではでした。




◇ 特集続き[小さな家] 【★★★☆☆】

 一方の「小さな家」は5例。

 旗竿敷地の「竿」の部分に「離れ」を建てた「Near House」(マウントフジアーキテクツスタジオ)、家型を積み木のように重ねた集合住宅「Tokyo Apartment」(藤本壮介)。

 家族6人で10.5坪という「南加瀬の住宅」(納谷学+納谷新)は、前出のマンションリノベーション「nr1977−」を思い起こさせますが、そうはいってもこちらは戸建て。縦に伸びることができるぶんは有利で、上下に変化のある空間が楽しそうでした。
 
  また、「ジュッカイノイエ」(長岡勉+田中正洋/POINT、横尾真/OUVI)、「紅葉坂の家」(西田司+加藤秀基/オンデザイン)は、いずれも建坪10坪ほどに、それぞれ10フロア、13室を詰め込んだ事例。たくさんの部屋や床があることで、小さな家に距離感が生まれています。近年はこうした「あえて仕切る」設計が増えているような気がします。

 ほか、築40年を超えた「塔の家」、築10年を迎えた「9坪ハウス」スミレアオイハウスの訪問記もあり。




◇ 記事[ミラノサローネ2010特報] 【★★★☆☆】

 今年のミラノサローネレポートは、トップデザイナーの新作紹介から。引退予告をしたにもかかわらず、相変わらず精力的なフィリップ・スタルクは、3つのブランドから4つの新作を発表。マルセル・ワンダース、パトリシア・ウルキオラ、カンパーナ兄弟も複数のブランドから新作を出して意気軒昂です。

 カーサが選ぶ「インスタレーションBEST9」には日本人4組がランクイン。平田晃久、nendo、谷尻誠、吉岡徳仁の名前が挙がりました。

 今年の新作の傾向として、カーサは「一時期大流行した、クラフト感の強いプロダクトは少なくなり、LEDをはじめ、新素材新技術を生かした、軽やかで機能的なデザインが中心になっているよう」と分析しています。確かに、数年前によく見かけた装飾性の強いものはあまり見当たりませんでした。





この雑誌を購入する


[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 萩原詩子]

◇萩原詩子(はぎわらうたこ)
文系住宅ライター。就職雑誌を編集するつもりで入った会社で住宅雑誌編集部に。以来十余年、住宅とその周辺の取材を続けている。著書に「住宅リフォームの値段としくみがわかる本」、共著に「住宅購入チェックリスト」(ともに東洋経済新報社)がある。

◇建築&住宅メディア研究会
代表:細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北嶋祥浩、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、今野靖人、殿木真美子、萩原詩子、平塚桂、守山久子、吉川彰布、脇坂圭


Posted by 管理者 at 11時30分

2010年06月08日(火)

[Casa BRUTUS]2010年6月号 [Casa BRUTUS]

[Casa BRUTUS]2010年6月号・マガジンハウス・特別定価980円


◇ 特集[オルセー美術館の至宝「印象派」] 【★★★☆☆】
 
 パリ・オルセー美術館の改装を期に、世界を巡回中の「オルセー美術館展2010-ポスト印象派」展。5月26日から8月16日まで、東京・国立新美術館で開催されています。これに合わせて、他誌も「印象派特集」を組んでいました。

 カーサは例によって「今さら人に聞けない」基礎知識Q&Aからスタート。絵画だけでなく「オルセー美術館」そのものについてかなりの紙数を割いているところもカーサらしいです。

 館長ギ・コジュヴァル氏へのインタビュー記事には、美術館の改装プランが掲載されています。建築家ドミニク・ブラールによる新設フロアのスケッチ、ジャン=ミッシェル・ウィルモットによる改装案のCG。カフェはカンパーナ兄弟が担当しているというのが意外です。「オルセー内部の人間は誰も彼らの仕事を知らなかったんじゃないかな」とコジュヴァル氏。氏はモントリオール美術館館長を務めた経験を持ち、現代アートやデザインにも通じているそうです。

 「印象派が現代のクリエイションに与える影響というテーマはありえる?」というカーサの問いに、コジュヴァル氏は「難しいですね」と答えます。「アール・ヌーヴォーの影響を語るのが可能なのは、それが様式だからです。(中略)だが印象派はスタイルではなく、物の見方の問題です。19世紀末の時代に、印象派の物の見方は本当にラディカルだったということに意義があるのです」

 五十嵐太郎氏解説による、印象派時代の建築・デザイン動向記事もあり。




◇ 特集続き[印象派を巡る旅] 【★★★☆☆】

 特集中盤は、「トラベルJAPAN」と「トラベルFRANCE」。日本国内とフランスそれぞれの、印象派を巡る旅のガイドです。

 圧巻は、日本の印象派収蔵美術館を網羅したリスト。これ、かなりの労作だと思います。この調査によれば、国内に印象派を所蔵している美術館は60館、収蔵点数549点。モネの「睡蓮」シリーズだけで20作品以上もあるとか。60館にも分散しているのが、かえってもったいないように思えますが・・・。「日本人は印象派好き」という通念を裏付ける事実でした。

 印象派の本国フランスの旅は、まず、オルセー・オランジュリー・マルモッタンを擁するパリとその郊外。そして、モネの足跡を追ってル・アーヴル、ルーアン、ジヴェルニーを回る「北回り」ノルマンディー地方の旅と、ゴッホのアルル、セザンヌのエクサン・プロバヴァンスの「南回り」南仏の旅。それぞれ、町のデータ、宿や交通案内も付いてます。




◇ 特集続き[見るべきオルセーの至宝BEST50] 【★★★☆☆】

 特集最後は「特別保存版企画」で今回の国立新美術館の「オルセー」展をじっくり扱います。紙もマット紙に変えて、「カーサが選んだ」マスターピース50点を掲載。

 ページをめくってみると、本当に名作がずらり。改めて、「これは絶対行かなければ」と思うと同時に「いったいどれほど混雑するんだろうか・・・」とも思いやられます。来年のオルセーリニューアルオープンを待って、現地に行った方がいい・・・かもしれないけれど。





この雑誌を購入する


[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 萩原詩子]

◇萩原詩子(はぎわらうたこ)
文系住宅ライター。就職雑誌を編集するつもりで入った会社で住宅雑誌編集部に。以来十余年、住宅とその周辺の取材を続けている。著書に「住宅リフォームの値段としくみがわかる本」、共著に「住宅購入チェックリスト」(ともに東洋経済新報社)がある。

◇建築&住宅メディア研究会
代表:細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北嶋祥浩、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、今野靖人、殿木真美子、萩原詩子、平塚桂、守山久子、吉川彰布、脇坂圭


Posted by 管理者 at 11時30分

2010年04月28日(水)

[Casa BRUTUS]2010年5月号 [Casa BRUTUS]

[Casa BRUTUS]2010年5月号・マガジンハウス・定価880円


◇ 特集[器こそ、わが人生!] 【★★★★☆】
 
 器だけで67ページ! の大特集。著名人が多数登場し、「買う」「使う」視点から器を語る記事になっています。

 アーティスト・村上隆さんは西麻布「桃居」店主の広瀬一郎さんにコレクションを披露。「日本の陶芸は生産力も消費力もクオリティーも世界一なんです。惜しむらくは、価値の体系化ができていないこと」と力説する村上さん。「再発見すれば、日本の現代陶芸の素晴らしさを、海外にも伝えられるんだから」。

 次の記事では、村上さんが2005年に亡くなった陶芸家・青木亮の工房を訪問。「僕は青木さんの器って、何か、ひとつ突き抜けて向こう側に行っちゃったみたいな強さを感じるんです」

 同じくアーティスト・奈良美智さんは「滋賀県立陶芸の森」でやきものを制作中。あの少女像が巨大な立体に。作品は5月15日〜6月16日に小山登美夫ギャラリーで発表されます。

 奈良さんは、去年知って興味を持ったという陶芸家・川喜多半泥子についても語っています。「魯山人は思った器を陶工に作らせていたりして、どちらかというとプロデューサータイプなのに対し、半泥子はあくまで趣味として、好きだから作陶している」。魯山人より半泥子の方が「断然好きです」。

 ほか、アーティストではイサム・ノグチの器を紹介する記事も。

 器を使うシーンを見せてくれるのは、料理研究家・長尾智子さん。河井寛次郎、ルーシー・リー、バーナード・リーチのお皿に料理を盛り付けます。また、ヨーガン・レールの社員食堂は、同社ブランド「ババグーリ」でも商品化しているオリジナルの器に盛ったランチメニューを紹介。野菜たっぷり、美味しそう。

 ほか、全国20の器ギャラリー店主に聞く「2010年、いち押しの作家展」、「にっぽん全国 器が素敵なカフェ案内」23店、「世界の名作デザインBEST50」など盛りだくさん。

 掲載されている器は、作家ものでも2000円台から。村上隆さんいわく「7000円の器を買って大満足することはあっても、7000円の現代美術ってないし」。もっとも、ハマるときりがなくなりそうですが・・・。




◇ 特別企画[現代日本の工芸作家11人。] 【★★★☆☆】

  今年のミラノサローネで、ボッテガ・ヴェネタは、日本の工芸作家の作品を展示・販売しました。作家は、カーサが推薦した数十人の中から、ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブディレクター、トーマス・マイヤー氏が11人に絞り込んだそうです。

 木工の佃信吾、ガラスの荒川尚也、金工の長谷川竹次郎、漆の赤木明登、和紙の中村功、陶芸家の濱中史朗、伊藤正、内田鋼一、若杉聖子、石彫の上田亜矢子、竹工芸の中臣一。

「機能を追求して美を達成することは、誰にでもできる才能ではありません。今回私たちは、そんな仕事ぶりを世界に知らしめる・・・、世界の“目を覚ます”きっかけを作りたいと考えています」とは、マイヤー氏から日本へのメッセージ。




◇ 記事[注目を集めるLAのデザイン集団の全貌。] 【★★★☆☆】

 4人の創立者によるデザイン集団「コミューン」をクローズアップ。「依頼者のアイデンティティーを、その人の持っている空間や、印刷物、ロゴなど、可能なすべてのコミュニケーション手段で表現することを補佐する組織」を目指して立ち上げられた会社だそうです。東京でも、シブヤ西武の「オープニングセレモニー」を手掛けています。

 記事は10ページを割いて、彼らのオフィスや作品を紹介。クライアントの一人、「エースホテル」オーナーのアレックス・カルダーウッド氏は「彼らは職人や工芸家をとてもうまく使う。そのあたりが他のデザイナー達と違いますね」と評価しました。





この雑誌を購入する


[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 萩原詩子]

◇萩原詩子(はぎわらうたこ)
文系住宅ライター。就職雑誌を編集するつもりで入った会社で住宅雑誌編集部に。以来十余年、住宅とその周辺の取材を続けている。著書に「住宅リフォームの値段としくみがわかる本」、共著に「住宅購入チェックリスト」(ともに東洋経済新報社)がある。

◇建築&住宅メディア研究会
代表:細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、岡部明子、北嶋祥浩、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、今野靖人、殿木真美子、萩原詩子、平塚桂、守山久子


Posted by 管理者 at 11時30分

過去の記事へ

ページのトップへ ページのトップへ

8

2010


1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

検索


上記の検索結果のRSS情報です RSS1.0

カテゴリーリスト

最近の記事

リンク集

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright (C) 2005 pf1.jp All rights reserved.