建築雑誌オールレビュー

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2008年01月10日(木)

[日経ホームビルダー]2008年1月号 [日経ホームビルダー]

[日経ホームビルダー]2008年1月号・日経BP社・定価1500円


◇特集[「お金の失敗」回避術] 【★★★☆☆】
 
 読者129人の体験談に基づく「失敗しないコスト対策」。まず、「顧客対応」「仕様変更」「現場管理」「合理化」「見積もり」の原因別に、体験談と解説、まとめの「心得」が挙げられます。

 「顧客対応」のみならず「仕様変更」も「施主の思い入れが強い部分」だから「必ず施主に確認してもらう」こと。「現場管理」では「施工者のモチベーションを刺激して労賃以上の働きを引き出す」。

 住宅という手づくり商品では、コストもドライには割り切れません。顧客に対しても施工者に対しても人心への配慮が不可欠。

 まとめの「達人が明かす『やってはいけない』コスト対策10」では「価格だけの競争には巻き込まれない」「安い在庫品はクレームを呼ぶ」「値引き要求に妥協は禁物」などのアドバイスが挙げられています。これらもまた、「テクニック」より「心得」なのでした。




◇リポート[タマホーム「坪25万8000円」の実像] 【★★★☆☆】
 
 1998年に福岡県筑後市で設立されたタマホーム。あっという間に全国展開を進め、2005年には東京都港区に本社を移転。08年5月期の決算では完工1万棟に達する見込みとか。この勢いはどこからくるのか、かねて疑問でなりませんでした。そこへ「ホームビルダー」の直撃リポートです。

6ページの記事は、上段にタマホームの玉木社長インタビュー、下段にタマホームで家を建てた8人に対するアンケートで構成されています。

 他のローコストFCとの差別化を「人材です」とする玉木社長。その人材の「40%が営業マン」。建物のクオリティに関しては、スケールメリットを生かした仕様の高さを強調します。

 「あと4〜5年内に、住宅着工数は総戸数で100万戸を割ると思っています」と語りつつも、「100万戸時代に10万戸建てても業界全体のシェアの10%に過ぎない。不可能ではないでしょう」と意気軒昂。う〜む、毎年「タマホーム」が10万戸ずつ建つとしたら・・・。

 建て主の回答では、「実際にかかった坪単価」は44万4000円が最低で、最高は80万円。「メンテナンスもしっかりしている」という意見もあれば、反対に「メンテナンスや修理費用について、どこに問い合わせていいかわからない」という意見も。このあたりは、大手ハウスメーカーの建て主にアンケートをとっても、きっと似たような結果が出ることでしょう。

 これで「実像」がわかったかというと・・・やはり、そう簡単ではないですね。




◇連載[引き渡し後に陥没の危険性発覚]【★★★★☆】

 連載「住宅事件簿」第86回。今回は、愛知県日進市の区画整理で造成されたニュータウンに陥没の危険性が発覚した事件を追います。

 このニュータウンは戦前からの炭坑跡で、坑道が埋め戻されないまま、造成・分譲されていたとのこと。市は坑道の存在を認識し、事業組合に埋め戻しの費用14億円を計上させていたにもかかわらず、事業組合の「計画変更」によって坑道を特定する調査すら行われていなかったというのです。

 坑道を特定する調査は専門的で、「戸建て住宅の予算で行うのは不可能だろう」とのこと。日進市議会の追求によって、事業組合は埋め戻しを進めると表明したそうですが、まったくとんでもない話。記事は「地歴情報には敏感でありたい」と指摘しています。




[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 萩原詩子]

◇萩原詩子(はぎわらうたこ)
文系住宅ライター。就職雑誌を編集するつもりで入った会社で住宅雑誌編集部に。以来十余年、住宅とその周辺の取材を続けている。著書に「住宅リフォームの値段としくみがわかる本」、共著に「住宅購入チェックリスト」(ともに東洋経済新報社)がある。

◇建築&住宅メディア研究会
代表:細野透
会員/今井早智、岡部明子、今野靖人、殿木真美子、萩原詩子、平塚桂、守山久子



Posted by 管理者 at 11時30分

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