2010年03月11日(木)
[Casa BRUTUS]2010年4月号 [Casa BRUTUS]
◆[Casa BRUTUS]2010年4月号・マガジンハウス・特別定価980円
◇ 特集[新しいスタイルはいつもニューヨークから始まる!] 【★★★☆☆】
カーサのNY特集、2年半ぶりだそうです。この間に何があったかといえば、言わずもがなの「リーマン・ショック」。しかし、彼の国では早くも「新しいエネルギー」が湧き起こっているとカーサは主張します。「再生のキーワード20」と銘打ったこの特集、参考にしたいところです。
最初の話題は去年6月にオープンした「ハイライン」。1930年代に建設された高架鉄道を空中公園に生まれ変わらせたものです。設計はディラー&スコフィディオ+レンフロと景観設計事務所フィールド・オペレーションズ。まだ工事は進行中で、完成すれば全長約2.3キロに達するそうです。
もうひとつのトピックは名門大学クーパー・ユニオンの新校舎と、設計を手掛けた建築家トム・メインのインタビュー。「目指したのは、人々が複雑に行き交う、いわば“村”」とメイン氏。リサイクル資材の使用に雨水利用、パッシブデザインなど技術やアイデアを駆使した緻密なエコ建築でもあります。
ほかにも、NY在住のデザイナーや建築家、アーティストが多数登場し、彼らの口からそれぞれの「おすすめスポット」が語られます。建築や観光スポット、レストラン、ベーカリーまで中身は多彩。
大学で建築学を学んだというファッションデザイナー、アダム・キメルはNY建築ベスト10をチョイスしました。ベスト1は1931年に建設されたバンク・オブ・ニューヨーク・メロンコーポレーション。キメル氏は「NYで過小評価されている建築物のひとつ」と語ります。次いで、ザ・アートステューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨーク、ゴシック様式のゼネラル・エレクトリック・カンパニーがベスト3でした。
結局「再生のキーワード」がどれかはよくわからなかったのですが「B級だけど味はA級」とか「古きを知り(原文ママ)、新しきを知る」という見出しがそれとすれば、東京だって案外、負けてはいないかも。
取り上げたすべてのスポットを掲載したマップに、さらにカフェ50件とミュージアム&ギャラリー50件をまとめた綴じ込み別冊付き。
◇ 特集続き[ニューヨークお宅訪問] 【★★★☆☆】
「ブルックリン派」と「マンハッタン派」それぞれ3件の「お宅訪問」。
まず「ブルックリン派」から。アーティストのヴィック・ムニーズの住まいは、なんとスクールバスの駐車場と建築材料の工場を改築したものです。それだけにひときわスケールが大きい。しかし、本文をよく読めばビルが40万ドル、改築費が50万ドル、今のレートなら合わせて8100万円!? 東京都心のマンション価格を思えば格安です。
一方、「マンハッタン派」のインテリアデザイナー夫妻は7人(!)の子持ち。古いビルを買い取っては改築して住み、また次のビルを改築したら売るという「ビジネス」を実践しています。家族全員でモデル事務所と契約し、CMにも出演するというから、まさに生活すべてが「ビジネス」・・・。
◇ 記事[建築×アートの聖地「香川」へ。] 【★★★☆☆】
アートの島・直島はカーサでもたびたび取り上げていますが、対岸の高松はじめ香川県は、名建築が多いことでも知られています。丹下健三の香川県庁舎、谷口吉生の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、栗林公園「掬月亭(きくげつてい)」などなど・・・。
今年7月からは「瀬戸内国際芸術祭」が開催されることでも注目。記事はデザイン、建築、歴史の3つのテーマとアートを掛け合わせ、主なスポットを紹介しています。
★この雑誌を購入する[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 萩原詩子]
◇萩原詩子(はぎわらうたこ)
文系住宅ライター。就職雑誌を編集するつもりで入った会社で住宅雑誌編集部に。以来十余年、住宅とその周辺の取材を続けている。著書に「住宅リフォームの値段としくみがわかる本」、共著に「住宅購入チェックリスト」(ともに東洋経済新報社)がある。
◇建築&住宅メディア研究会
代表:細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、岡部明子、北嶋祥浩、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、今野靖人、殿木真美子、萩原詩子、平塚桂、守山久子
Posted by 管理者 at 11時30分
