建築雑誌オールレビュー

代表/細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、後藤雅浩、今野靖人、菅原麻衣子、
   殿木真美子、奈良賢史、萩原詩子、守山久子、脇坂圭一

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2012年02月03日(金)

[LiVES]2-3月号 [LiVES]

[LiVES]2-3月号・ライブス・980円


◇第1特集[住まい&ライフスタイルカタログ2012]【★★☆☆☆】

 登場する住人たちの満足度が、いつに増して高い。理想の暮らし方、夢の住まいへの思いがちゃんと形になった!という充実感に満ちています。

1.気ままに使いこなせる間取りと、大らかな三角屋根
  愛知県豊田市 屋根のおうち(設計、服部信康)

2.本物の素材が心地いいふつうの家
  東京都東久留米市 南沢の小住宅(設計、若原一貴)

3.テラスの先に広がる段々畑
  東京都府中市 家畑(設計、瀬野和広)

4.住み手の“好き”が集まった家
 神奈川県三浦郡葉山町 中村邸(設計、植田開)

5.古い団地を自分たちの手でリノベーション
  神奈川県川崎市 西三田の団地

6.庭から続く芝屋根がある平屋
  群馬県太田市 mat house(設計、小磯一雄)

7.省エネルギーを考えたエコハウス
  埼玉県深谷市 中島邸(設計、小島光晴、小林亙)

8.10年で住み切る中古リノベーション
  東京都世田谷区 上町の住宅(設計、藤田雄介)

 建築家が新築分譲、建築家と建てる、リノベーション、賃貸と、スタイル別に家選びを指南。トレンドを探るにはこのコラムが分かりやすい。




◇第2特集[趣味人たちのインテリア術!]【★★★★☆】

 ものがあっても絵になる空間の作り方を学びます。紹介事例は次の4軒。

1.仕事、趣味、生活が渾然一体。散策するように住まう
  東京都杉並区 H-rooms(設計、南部健太郎、久保緑子)
  
2.6000枚のCDと10000冊の本と暮らす
  東京都世田谷区 h10t(設計、青山茂生、隅谷維子)

3.趣味のアイテムと過ごすガレージと、家族と寛ぐシンプルなリビング
  東京都 M邸(設計、向山博)

4.「見せる」と「しまう」。デザイナーカップルの住居に学ぶミックス術
  大阪府北区 S・N邸(設計、岩田雅希)

 「キッチンを空間に対して斜めに配し、家具感覚で見せる」、「オープン収納のCDの他は隠す収納にしてメリハリを出す」「玄関、書棚、ウォークインクローゼット、洗面室を一体化。動線が整理されて片付けが気楽になった」など、大量の趣味のモノと共存するための知恵が散見できます。

 後半の「魅せる空間づくりの収納アイデア33」は、机上・棚・壁・床・キッチンとゾーンごとにシンプルで使いこなしやすい技が結集。一読をお勧め。




◇[デザイン物件レビュー]【★★★★☆】

 「すべて入居可能!」がキャッチフレーズのレギュラーページ。今回は東京、神奈川、兵庫から10軒を掲載。

 東京都墨田区の物件は、耐震性を考慮。東日本大震災を機に住宅に対する考え方が大きく変化した建築家の大菅洋介氏の設計で、リノベーションしたマンションの一室。住まいの安全性を高めたポイントが、インテリアのアクセントになっている点が面白い。

 今回、3軒がシェアアパートやシェアオフィス。群れるライフスタイルに人気が集まり、専門の情報誌まで出ている昨今。需要に応えて、物件も中身が充実してきたのを誌面で実感。特に、キッチンやダイニング、リビングなどの共有スペースの質が向上しています。




[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 大津なほ子]

◇大津なほ子(おおつなほこ)
フリーランスライター。住宅設備機器業界誌、出版業界紙記者を経て、1995年からフリーに。書店訪問、旅情報、生涯学習者へのインタビューで全国各地を歩く。近年、住宅設備から器へと興味を広げて建築分野を勉強中。

◇建築&住宅メディア研究会
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Posted by 管理者 at 11時30分

2012年02月02日(木)

[ELLE DECOR]2月号 [ELLE DECOR]

[ELLE DECOR]2月号・エル・デコ・1530円


◇特集[2012年トレンド大予測!]【★★★☆☆】

 天変地異、経済危機など不安な気が地球全体を覆う今、心に届く美しさに癒されます。素朴な美しさであったりゴージャスな美しさであったりと、美の基準は様々。家具や照明、日用品から建築まで幅広くトレンドを探っているので、誰もが少なくとも1つは、琴線に触れるものと出会えるでしょう。

 広い分野を扱い一括りにするのは難しいけれど、2012年のトレンドのキーは「人や自然との結びつきが感じられるもの」と言えそうです。手作りの味わいがストレートに伝わる木の椅子をトップバッターに、温もりを身近に感じるアイテムが選ばれています。

 テキスタイル予測では壁紙やフロア、ソファともにフリーハンドで線を引いたようなデザインで揃えたモデルルームを紹介。「よろよろした手描きのようなラインが印象的なパターン」が2012年のトレンドと。確かに、「よろよろした」ラインには人肌の温もりを感じます。

 後半はデザイナーや建築家にスポット。個性の強い作品が目に付きます。今後どこかで見かけたら、「エルデコに載っていた」とピンと来そう。どんなシチュエーションで再会するか、楽しみ。




◇第2特集[インテリアデザイナーの家を大公開!]【★★★★☆】

 サブタイトルは「見たこともないような、驚きのスタイリング全6例」。

 1.美しい色が響き合う、ショルテン&バーイングスの部屋
 2.親密にアートと暮らす、アリック・レヴィの“実験室”
 3.骨董とキリンが出会う、オラ・イトの不思議空間へようこそ
 4.未来派家具が輝く、サワヤ&モローニの1920年代の館へ
 5.波のささやきが聴こえる、ケリー・ウェアスラーの別荘
 6.空っぽの“箱”にかけられた、パトリック流カラーマジック

 1.は白を基本色とした室内に、真っ赤なシャワーヘッドやオレンジ色のサイドテーブルと、ビビットなカラーを配置。大きなキャンパスに色を投げつけたような、鮮やかな手腕。4.は空間によって素材やデザインを違えたフロアに惹かれます。

 ほかにも、実物大のキリンの像をインテリアにしていたり、アンティークとモダンの大胆な組合せが違和感なかったりと、思考を止めて感性の世界で浸るのがベターな部屋ばかり。

 部屋をステキに見せるアイディアに満ちているけれど、何かヒントになることはないかと手ぐすね引いて見るよりも、センスの良い6人の家を眺めて楽しむことに徹したい特集。




◇[SOHOをもっとおしゃれに!]【★★★☆☆】

 ホームオフィスのためのインテリアやステーショナリーを紹介しています。独り身だったらローンを組んででも購入しただろうなぁと、嘆息もののデスクやシェルフ、チェアーが目白押し。

 ホームオフィス向けなので、セレクト基準は「シンプルであること」が第一。それなのに、機能性とデザイン性が同居するアイテムがこんなにもあるのかと、嬉しい驚きがあります。華奢なシルエットのものが多く、その軽やかな存在感は和風・洋風問わず、どんなテイストの室内にも無理なく合いそう。

 実在する、おしゃれなSOHOをぜひ見てみたいもの。訪問ページが後半にあったら、なお良かったですね。




[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 大津なほ子]

◇大津なほ子(おおつなほこ)
フリーランスライター。住宅設備機器業界誌、出版業界紙記者を経て、1995年からフリーに。書店訪問、旅情報、生涯学習者へのインタビューで全国各地を歩く。近年、住宅設備から器へと興味を広げて建築分野を勉強中。

◇建築&住宅メディア研究会
代表/細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、後藤雅浩、今野靖人、菅原麻衣子、殿木真美子、奈良賢史、萩原詩子、守山久子、脇坂圭一


Posted by 管理者 at 11時30分

2012年02月01日(水)

[日経アーキテクチュア]12月10日号 [日経アーキテクチュア]

[日経アーキテクチュア]12月10日号・日経BP社・1300円


◇特集 瀬戸際の攻防、原発カバー工事【★★★★☆】
「近づけない現場」を制した逆転の発想


 特集は、水素爆発によって建屋が吹き飛んだ福島第一原発の一号機を取り上げ、放射性物質が外部へ飛散するのを防止するカバーをかける工事を追う。現場は、高い放射線量が計測され、作業が困難な状況だった。しかし、清水建設がほぼ無人で施工する離れ業をやってのけた。

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1. 嵌合接合で難題を一挙解決
  人が近づけない現場を、ボルトも溶接も使わない工法で攻略


 1号機原子炉建屋の平面40m角、高さ45mの規模から算定すると、通常であれば柱梁屋根トラス合わせて約2万本のボルト締めを要する。しかし、現場での作業は作業員の被爆の恐れがある。

 そこで生み出された手法は、溶接やボルト締めを一切使わず、上向きの突起と穴をかみ合せるだけで柱と梁を接合する「嵌合接合」というものだ。部材の大型ユニット化もあわせ、750t吊りクローラークレーンを用いて建設・解体、玉掛け・玉外しを無人化した。

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2. 成功率100%が絶対条件
  小名浜港で予行演習、入念な“仮組み”で失敗の芽を摘み取る


 工事にあたって、いわき市・小名浜港で6月から7月にかけて「仮組み」が行われた。差し迫る状況の中で、あえて1ヶ月以上も時間をかけたのは成功率100%とするためだ。

 全国8カ所で製作され、超突貫で納入された鉄骨を事前に組み立てることで調整が行われた。8月より始まった建て方に大きな問題は無かった。

 建て方終了後には、内部の放射性物質を除去するフィルターユニットが取り付けられた。注意すべきは、建屋カバーの共用期間は2年という応急処置であり、基準法の適用も除外されている点だ。また、地震力は水平震度0.2、風圧力は基準風速を秒速25m、再現期間10年として低減された数値が設定されている。

 今回の第一号機だけではなく、今後、ほかの建屋、さらには周辺を含め、福島第一原発がどういう道をたどるのか。「臭い物に蓋をする」だけでは済まされない。




◇住宅特集 省エネ改修に挑む【★★★☆☆】
 実測データを蓄積し、提案力を磨け


 住宅特集として、近年、国による住宅エコポイント制度によって注目が集まる省エネ改修が取り上げられた。施工者、建材メーカー、ディベロッパーが展開する事例を見ていこう。

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1.突破口は改修効果の見せ方
 大手はグラフ化や樹木換算で潜在ニーズを発掘


 2011年7月末に一旦終了した住宅エコポイント。それが、2011年第3次補正予算に盛り込まれ、2012年1月から再スタートすることになった。

 耐震改修も加算対象となるなか、普及を巡って住宅メーカー、建材メーカーらは知恵を絞っている。効果を実感しづらい省エネ改修にあたり、「見える化」がひとつの手法だ。たとえば、光熱費の節約効果を年間積算価格であらわしたり、二酸化炭素の削減効果を樹木の吸収する本数であらわしたりする事例が紹介された。

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2.建売住宅の暖房負荷を半減
 断熱材と通風で温熱環境を改善した「下町に還る家」


 東京・墨田区の「下町に還る家」は、1995年竣工の木造2階建て建売住宅を改修したものだ。防火地域にあるため、建て替えれば防火仕様にする必要が生じ、相当のコストが発生する。

 そこで改修計画をたてた設計者は、改修前後の熱負荷計算書を作成し、外壁断熱・複層ガラスにより熱還流率を0.7から0.3に低減できることを確認した。冷房時44%、暖房時49%の負荷低減に加え、太陽光発電の導入により売電料年間約1200kWhを実現している。居間には発電量、電気使用料を表すモニターがおかれ施主の意識も変わったと言う。

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2.環境研究者が自邸を断熱化
 エアコンなしでマンション最上階に暮らす「宿谷邸」


 東京都市大学教授・宿谷昌則氏が、1991年竣工の14階建てマンションの最上階を改修した。既存は無断熱に等しかったが、外壁面内側に厚50mm、天井面厚100mmの断熱材(セルロースファイバー)を設置した。

 また、既存サッシの単板ガラスを真空ガラスに交換し、外付オーニング、ブラインド内蔵複層ガラス、高断熱浴槽を組み込んだユニットバスを設置した。一方、エアコンは撤去し、夏は扇風機を使うこととした。光熱費は15〜20%減になったという。

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3.社宅を「売電付き」で分譲
 戸別売電と炭素クレジット取引を導入した「リノア元住吉」


 1989年竣工の社宅を改修し分譲した川崎市「リノア元住吉」が紹介された。リビタがすすめる一棟丸ごと改修オール電化マンションのひとつだ。太陽光発電による戸別発電システムを組み込んだため、分譲価格として150万円がプラスされたが、即日完売となった。

 10年保証の製品をメーカーと開発し、最上階の4戸に対し、3.2kWの太陽光パネルが設置された。平均売電月額は1万4000円、電力使用量6000円なので、電力料収支8000円となり、13年で回収できる計算だ。

 エネルギー可視化システムが導入されて、入居者の省エネ意識が高まっているという。また、マンション全体の二酸化炭素排出削減量を「炭素クレジット取引サービス」でファミリーネットジャパンが管理組合から買い取るという手法もとられている。

 しかし、売電をはじめとした手法だが、震災により熱源としての電気のあり方も変化が求められるだろう。




◇エコハウスのウソ 第15回 
オール電化はオールエコ?【★★★☆☆】


 ここ10年のエネルギー変革の主役といえばオール電化住宅だ。それが、使い方によっては増エネになると言う。オール電化を構成する主要な機器は、IHヒーター、エコキュート、エアコンの3つ。その中で、エコキュートとエアコンはヒートポンプにより空気熱を集め、高効率を達成している。

 ではなぜ増エネになるのか。問題はオール電化と謳いながらヒートポンプを使っていない場合があることだ。たとえば、ヒーター式電気暖房機、電気温水器を用いた場合、電気を大量に消費(二酸化炭素を大量に排出)しても、割安な深夜電力によりその非効率さに気付かない場合があるのだ。

 東京大学・前(まえ)准教授は、深夜電力は原子力発電によってもたらされており、今後の原子力政策によって不透明感があると警笛を鳴らす。将来、ガス、あるいは油が熱源として着目を浴びることになるだろうか。政策によって導かれた熱源が環境に対して最良とは限らないという見方も必要だろう。




[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 脇坂 圭一]

◇脇坂 圭一(わきさか けいいち)
名古屋大学准教授。1971年、札幌市生まれ。東北大学卒業後、建築設計事務所勤務。デンマーク・オーフス建築大学留学。東北大学大学院博士課程後期修了後、脇坂圭一アーキテクツ設立。東北工業大学、東北文化学園大学、東京芸術学舎にて非常勤講師。博士(工学)。建築学会東北建築賞研究奨励賞受賞。先日、取材のため宮本佳明氏の「ゼンカイハウス」を訪問してきました。

◇建築&住宅メディア研究会
代表/細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、後藤雅浩、今野靖人、菅原麻衣子、殿木真美子、奈良賢史、萩原詩子、守山久子、脇坂圭一

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